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難民問題の中の語学教育


世界の重要課題でありながら、日本人にはなじみがない人が多い「難民問題」。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が今年6月19日に発表したプレスリリースによれば、"2016年末時点で家を追われた人の数は6,560万人に上り、2015年末時点と比べて約30万人増えました。"とのこと。過去最多だそうです。
多様な課題が議論される難民問題ですが、現在、受け入れ国での難民の語学教育が課題の一つになっていることをご存知でしょうか。

6月20日の「世界難民の日」によせて、Rosetta Stone社のヨーロッパ地域担当ディレクター、パノス・クラニオティスは、英国Webメディア「TrainingZone」で、昨今の難民急増により受入国で言語を教える教師の不足や教育機関への負担増により、難民の自立、安定した生活基盤構築が妨げられている、と指摘します。

例えばヨーロッパ内でも特に難民受け入れに注力しているドイツでは、ドイツ語を教える教師の不足や語学学校の運営が困難に直面しているケースが実際に続出しています。言葉が通じず地域になじめないストレスは、犯罪やテロなどの反社会的行為に手を染めるきっかけにもなり得るという懸念も広がっています。

他にも、出身国で満足に教育を受けられず母語の読み書きさえままならない人や、親族への仕送りや密航業者への借金返済のため、語学習得より就職を急ぐ人も多くいるなど、語学に関連する課題は山積しています。

パノスは、Rosetta Stoneのようなデジタル語学ツールが、難民の語学教育をサポートできる、と提案しています。
先生がいなくても仕事があっても求職中でも、いつでもどこでも学習を進められ、個々人の能力や最終目標に応じた最適なカリキュラムの設計も、より簡単に行えるからです。多様な背景を持つ難民への平等な教育機会の提供や、習得期間の短縮化も期待できます。

さて、コミュニティや組織に溶け込み安心して暮らしていくには、現地の言葉を話せるスキルは必要不可欠であるというのは、難民に限ったことではなくあらゆる人に当てはまる事実です。ビジネスの現場でも同じではないでしょうか。母国語が違う同僚とコミュニケーションできない、赴任した海外拠点で現場に指示が伝わらない…不十分な語学教育は、従業員個人にも、企業や組織にも深刻な問題をもたらします。

今後、日本企業でも外国人を雇用する機会や日本人を海外拠点に配置する機会はますます増加するでしょう。日本人社員も外国人社員もコミュニケーションのストレスなく仕事に集中できる環境、貴社ではどのくらい整えていますか?

パノスの記事(英語)はこちら。
https://www.trainingzone.co.uk/community/blogs/panos-kraniotis/the-impact-of-language-proficiency-on-refugees

参考記事

写真提供元:フリー写真素材ぱくたそ

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